これは Blender Advent Calendar2016 12/15の記事です。
「Filmic-Blender」を使ってみたメモです。間違いがあれば突っ込みいただけると幸いです。記事中のBlenderのバージョンは2.78aです。
Filmic-Blenderについて
Filmic-BlenderはCycles用のカラーマネジメント設定セットで、Blenderに最初から入っているカラーマネジメント設定ファイルと置き換えて使います。私はまだ技術面をしっかり理解できていませんが、主観的な印象では、階調が飛びにくくなることで柔らかい雰囲気を表現しやすくなり、フィルム写真のような自然な絵作りを目指しやすくなると感じました。配布元の説明にはノンフォトリアル作品にも効果を発揮すると書かれているようですし、今後いろいろ試していきたいです。
参考記事ブックマーク
rendering - Render with a wider dynamic range in cycles to produce photorealistic looking images - Blender Stack Exchange 'Filmic Blender' - The magic render button - BlenderNation RENDER / Realistic LUT Study - Blender Sushiダウンロードする
ダウンロードは以下のいずれかで。
Filmic Blender
GitHub - sobotka/filmic-blender: Filmic View and Look Transformations for Blender
インストールする
インストールするには以下のフォルダに移動します。
Blenderインストールフォルダ\バージョン番号フォルダ\datafiles\
今回使用したBlender2.78a-Windows64bit版だとこうなります。
blender-2.78a-windows64\2.78\datafiles\
Mac環境の場合はこんな感じになるみたいです。
\Applications\blender\blender-2.78a\blender.app\Contents\Resources\2.78\datafiles\colormanagement\
初めからあるcolormanagementフォルダを複製してバックアップしておきます。
バックアップでないほうのcolormanegementフォルダを開き、Filmic-Blenderの以下の内容をコピーして上書きします。
looksフォルダ lutsフォルダ config.ocio
カラーマネジメントの設定
Blenderを起動。新規にモデリングするか、シーン作成済みの.blendファイルを開き、ビューポートをRenderd表示にしておきます。フォトリアルにするにはライティングなどもしっかり作りこむ必要があるでしょうが、作りこみのゆるいシーンを使ってもそれなりにいい味が出る…気がします。
プロパティエディタのSceneタブ→Color Managementを開き、Display Device: Filmlike、View: Filmic Log Encoding Baseに設定。Look:のプルダウンメニューを開くといくつかのプリセットが現れるので、ビューポートを見ながら選択します。通常のカラー画像ならLow~High Contrastのいずれかを。必要に応じてExposureやGammaを調整、Use Curvesをチェックしてからのトーンカーブも使えます。
レンダリング画像
Filmic-BlenderのLook: Base Contrastを適用したレンダリング画像は以下に。比較のため、Filmic-Blenderインストール前のデフォルト設定を適用したレンダリング画像と並べてみます。Exposureを上げるにしたがって階調表現の違いが大きくなっていきました。
Exposure: 0.000 (上=sRGBデフォルト、下=Filmic-Blender)
Exposure: 1.000 (上=sRGBデフォルト、下=Filmic-Blender)
Exposure: 2.000 (上=sRGBデフォルト、下=Filmic-Blender)
Exposure: 3.000 (上=sRGBデフォルト、下=Filmic-Blender)
Filmic-Blenderインストール前のBlenderでView: Film、Exposure: 3.000に設定した場合の画像も比較用に貼っておきます。
Filmic-Blenderインストール後にBlenderデフォルトのような階調で出力したいときは、View: sRGB EOTFを使うようです。
Exposure: 0.000 (上=sRGBデフォルト、下=Filmic-Blender導入後のsRGB EOTF)
Blender公式のベンチマーク画像でも試してみたので置いておきます(レンダリングサイズ50%、他の設定も初期状態から少し変えています)。Exposure: 0.000~3.000、クリックで拡大します。
おまけ・デフォルトのフィルムエミュレーションと共存させる
Filmic-Blenderをインストールしただけの状態では、Blenderにデフォルトで入っていたAgfaやKodakなどのフィルムエミュレーション群が使えなくなっていますが、これを復元する方法が以下の動画内で解説されています。最初少しハマりましたが、YoutubeのページでSpirou4Dさんの補足コメントを見たらうまくいきました。(追記:ただ、この方法はFilmicの作者さんが推奨していなさそうな雰囲気です。Blender本体にFilmicが標準搭載されたら既存のエミュレーションセットがどういう扱いになるのか気になります)
その後の追記
Blender GURUから解説動画が出ました。さすがにわかりやすい。最後の方にたまたま私の作品がいくつか写り込んでてちょっと嬉しいです。FilmicはBlender2.79あたりで標準搭載されそうな感じです。
使用ソフトのバージョン: Blender 2.78a